現物、先物、信用、FXの違い
現物、先物、信用、レバレッジ・・・
投資には様々な取引方法があり、何がどんな投資で、どれくらいの利益や損失のリスクがあるかはよく分かりませんね。
例えばビットコインを取引するのにレバレッジをかけて信用取引をすれば差益は手に入りますが現物(ビットコイン自体)は手に入りません。
このページでは、現物取引・先物取引・信用取引・レバレッジ取引(FX)の4つに関してそれぞれの意味や違いを説明していきましょう。
また、それぞれでどのような投資が適しているかも紹介していきます。
現物・先物・信用・レバレッジの意味は
さっそく現物取引・先物取引・信用取引・レバレッジ取引(FX)の4つの意味を順に説明していきます。
現物取引とは
現物取引とは、一般的な売買のことを指します。
「お金を支払いモノ(現物)を得る」、または「モノ(現物)を売ってお金を得る」というごく普通の売買。普段コンビニや飲食店、ショップなどでする普通の買物なんかはすべて現物取引となりますね。
投資の世界ではこれから説明する先物や信用取引などと区別し、わざわざ「現物」ということが多いです。
現物取引の場合、自分の持っている元手以下の金額でしか取引がでないことから、現物取引は信用取引などの他の取引と比べ少ないリスクで取引が可能です。
先物取引とは
先物取引とは、特定の商品を決め未来の決められた日時に現在の決められた価格で売買をする取引です。現在の価格と未来の価格の差から利益を得ることができます。先物取引は未来の価格が下がると予想すれば、売りから入ることも可能です。
株は損失が拡大すれば塩漬けにすることができますが、先物取引の場合は期日が決められているため自動的に決済されてしまいます。
先物取引の目的は、
- 価格差を狙った投機(裁定取引など)
- 価格変動のリスクヘッジ
- 商品価格を適正化
があります。これらのことから、先物市場には多くの資金が流通しています。潤沢な資金が流れますから、国の経済発展には非常に役立ちます。ですから、先物市場発展に労力を費やしている国もあります。
先物取引に使われる商品は金、原油、トウモロコシなど身近なものを扱いますが実際に受け取ったり、受け渡したりするわけではありません。
現物取引の株ならば会社が倒産しても資金がゼロになるだけですみます。しかし、先物取引ならば価格変動が大きい商品もあるため大きな利益を望めますが、損失が大きく出た場合、資金を追加で払わなければいけない場合があります。
信用取引とは
信用取引とは、現金や株式を担保(保証金)にして証券会社からお金を借りて株式を売買する取引です。最大で担保として預けた金額の約3倍までの株式取引ができます。
信用取引には ・一般信用取引 ・制度信用取引 の2種類があります。
- 一般:ほぼ全ての銘柄で取引が可能。
- 制度:取引は指定銘柄のみ。返済期限あり
また資金や株を借りて取引をしているので、信用取引は手数料だけでなく金利や貸株料がかかってしまいます。それだけでなく、制度信用取引は逆日歩がかかってしまう可能性があります。
逆日歩とは、信用取引で株の貸し出しが多く、株が不足した場合に証券会社に追加で払わなければいけない賃貸料のことです。
株の現物取引ならば持っていない株を売ることができませんが、信用取引ならば証券会社から借りた株を売る空売りが可能です。よって現物取引ならば難しい下落相場でも利益を生み出すことができます。
しかし、元手以上の金額で取引をしますからこちらも先物取引と同様にハイリスクハイリターンだと言えます。
レバレッジ(FX:差金決済)取引とは
レバレッジ(FX)取引とは、取引の際に必要な証拠金を担保にしてレバレッジを掛けて元手以上の金額で売買する、差金決済取引です。信用取引は株式を扱うのに対し、レバレッジ(FX)取引は国通貨を扱います。
信用取引はレバレッジが約3倍なのに対してレバレッジ取引は国内FX業者ならば25倍が可能。差金決済なので、信用取引のようにお金を借り入れるわけではありません。したがって、金利や貸株料は発生しません。
また信用取引ならば株の需要と供給で値段が決定します。それに対しレバレッジ取引の場合2か国間の通貨を売買した取引のため、どちらの通貨も需要があればレートがあまり変化しません。
各取引の違い 早見表
4つの取引の違いが分かっていただけましたか? それぞれの取引には違った特徴があることを見てきましたが、扱う商品もそれぞれ異なります。
では次により具体的に現物、先物、信用、FXがどの商品を扱っているのか見ていきます。
「現物・先物・信用・FX」比較一覧表。
こちらの表で4種類の取引を比較してみましょう。
取引 | 扱い商品 | 期限 | レバレッジ | 借金 リスク |
---|---|---|---|---|
現物 | 株 | なし | 1倍 | なし |
先物 | 金属、原油など | あり | ~30倍 | あり |
信用 | 株 | あり | ~3倍 | あり |
FX | 外貨・仮想通貨など | なし | 25倍~ | あり |
見ていただくと分かると思いますが、取引によって特徴は様々ですよね。さらに、取引会社によっても手数料やスプレッドが異なったりしますから収支に影響が出ます。
現物取引だけが証拠金がない
特徴はそれぞれ違いますが、その中の一つに証拠金が必要かどうかというのがありますよね。先物取引、信用取引、FXには取引をする際に担保として証拠金が必要ですが、現物取引には証拠金が必要ありません。
その理由は、先物取引などは元金以上の取引をしますが、現物取引は元金より多い額の取引はできないためです。
元金以上の取引をするという事は最悪の場合、借金をしてしまうリスクが存在しますよね。お金を貸しているのは証券会社ですから、その借金を証券会社が肩代わりしなければいけなくなります。そのことを考えると、証券会社は営業していくにあたって障害になります。
ですから、先物取引などをする際に証拠金という名の担保を受け取りリスクヘッジをしています。
現物取引の場合、元金以下の額で取引をしますから証券会社が借金を肩代わりする必要はなく、証拠金を必要としていません。
先物と現物で裁定取引
ここまでみて、現物取引や先物取引などの特徴が分かりましたか。これから取引をはじめようと考えている人もいると思います。
しかし少し待ってください。実は先物と現物を合わせて利益を出す応用的な取引方法を存在します。
一体どのようにして取引をするでしょうか。より詳しく見ていきます。
アービトラージ(裁定取引)の方法
同じ商品でも時間や場所によって一時的に価格差が生じる時がありますよね。身近な例で言えばニンテンドースイッチです。
都会ならば品切れでこのゲームを買う事ができませんでした。さらに本体価格が約3万円なのに対して買い取り価格が約3万5千円と設定されていました。しかし、田舎ならばこれが普通に販売されていたそうです。つまり、田舎でスイッチを買い都会で売れば価格差から儲ける事ができました。
このように、同じ商品でも一時的に価格差が生じた際に割高なほうを売り、割安なほうを買います。価格差が小さくなってきたら反対の売買をする取引をアービトラージ(裁定取引)と言います。
リスクヘッジをする際の取引として有名で、株価の現物価格と先物価格の価格差を利用して稼ぐなどがあります。
金1gを例に詳しく見ていきます。
アービトラージの例
金の現物価格が5000円で、半年後の先物価格が5500円だとします。今回は現物を買いで、先物を売りで仕掛けます。すると半年後、
金1gが6000円になった場合
現物価格 6000円 - 5000円 = +1000円
先物価格 5500円 - 6000円 = -500円 となり
トータルは+500円ですね。
金1gが4000円になった場合
現物価格 4000円 - 5000円 = -1000円
先物価格 5500円 - 4000円 = +1500円 となり
こちらもトータルで+500円。
現物取引と先物取引を合わせると、このように2つの状況で利益を上げることができます。
このように現物と先物を合わせた取引方法がありますから、参考にしてみるといいかもしれませんね。
まとめ。各取引で最もおすすめの投資は?
現物や先物など4つの取引を見てきました。ではこれらの取引は具体的にどのような人が向いているのでしょうか。簡単に具体例をあげて説明していきます。
潤沢な資金があり、安定的に稼ぎたい人
このような人は、株の現物取引をして株主優待や配当金を狙った取引が有効です。
この取引は基本的に現物買いで長期保有をしますから、お金はあるが時間がない人と相性がいいです。さらに、レバレッジを掛けない現物取引ですから、値動きによるリスクヘッジができます。
資金はあまりないが、大きく儲けたい人
このような人はレバレッジをかけて元手以上の金額で取引ができるFXがおすすめです。FXならば少額からの取引が可能で、保有しているだけでお金がもらえるスワップポイントがあります。
チャート分析ができるようになれば短時間で多く儲けることができますから、多くの人におすすめです。
また、FXはリスクが高いと思われがちですが、取引高を低くすれば最も損失リスクの少ない投資にもなりえます。
というように人によって適している取引方法は異なりますから、自分に適した取引方法を見つけると利益拡大していくに違いありません。
異なる取引に関してまとめ
では今回の記事について簡単にまとめます。
- 安全性は、現物>信用>先物・FX
- 現物と先物を組み合わせで裁定取引が可能
- 自己の資金や性格に合う投資を選ぶこと
現物や先物など様々な取引がありますが、それぞれの特徴を見誤ると大損をしてしまう可能性があります。
いずれにせよ、資産を安定的に運用していくためにはどんな投資でも損失リスクを極力減らす努力が必要でしょう。
時間さえかけて利益を重ねていけば、億トレーダーも夢ではありません。
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