知らなきゃ損をする、スプレッドの実態とは
「スプレッドを理解しなければ、あなたは間違いなく損をする」
大げさに聞こえるかもしれませんが、スプレッドは利益に大きく関わってきます。
スプレッドとは「広がり、差、伸縮する」という意味を持ち、
FXにおいては「買値と売値の差」を表します。
「スプレッドとは、買値と売値の差」
このような説明で、FX初心者がスプレッドについてきちんと理解するのは難しいでしょう。
しかしスプレッドについて正しく理解しないままFXでトレードを始める事は、みすみす利益を逃していると言えます。
スプレッドをコントロールすることは、FXにおいて成功するための必須条件です。
必須条件かつ難解なスプレッドですが、ひとつづつ見ていけば理解するのは難しくはありませんよ。
それではスプレッドについて、徹底解説していきます。
まずはスプレッドについての基礎知識から見ていきましょう。初心者が知るべきスプレッドの知識とは
スプレッド(spread)とは「広がり、差、伸縮する」という意味を持ちます。
そして、FXにおけるスプレッドには「広がり、差」と「伸縮する」の2つの意味があるのです。
この2つの意味を理解することで、本当にスプレッドを理解することができます。
それでは、この2つの意味についてそれぞれを分けて説明していきます。
まず、1つ目の意味「広がり、差」について説明します。
FXでは買うときと売る時の値段が違う?
FXにおいてスプレッドとは、「買値と売値の差額」を表しています。
それでは、「買値」と「売値」という言葉について最も一般的な通貨ペアである「米ドル/円」で説明していきましょう。
この「買値」と「売値」はドルを基準に表した言葉で、1ドルを買うのに必要な円を「買値」と言い、売るのに必要な円を「売値」と言います。
基本的に「買値」の方が「売値」より高く設定されていることで、FX会社の利益となるのです。
我々がFX会社からドルを買う時は、高い値段で売り、我々が売る時は安く買うという仕組みになっています。
この仕組みによって、「買い→売り」、「売り→買い」のどちらの取引でもFX会社に「買値」-「売値」分の利益が出ることになっているのです。
手数料無料をうたっている会社も多いですが、実はスプレッドという形で手数料を取っているのです。
銭とpipsは何が違う?
スプレッドとは「買値」と「売値」の差額であるという話はしました。
次に、実際にスプレッドを確認する際によく「銭」や「pips」という単位を用いて表されることが多いです。
「買値」と「売値」は1ドルあたりの値段を表しますが、例えばドル/円の場合には円で表すと100.003円のように少数が出てしまいます。
では、100.003円は何銭・何pipsなのでしょうか。
「銭」とは1銭=0.01円であり、このように円では少数でしか表せない金額を「銭」を使って表しています。
我々日本人が取引する際の通貨ペアの多くは日本円と外貨のペアなので、基本的に「銭」の表記を見ることが多いです。
実際には、非常に多くの通貨ペアがあり、日本円を介さないペアの場合は「銭」を使っても意味がありません。
そのような全ての通貨ペアでも共通して使えるレートの単位として「pips」があります。
これからFXに関するレートなどを見る際は、1pips=1銭=0.01円と覚えておけば大丈夫です。
そもそもスプレッドがなぜ発生するのか
前の部分で、FX業者はスプレッドという形で手数料をトレーダー側から取っているという話をしました。
しかし、これはスプレッドにおける単なる1面であり、実はスプレッドが発生する仕組みがあります。
この仕組みを分かりやすく表したのが下の図になります。
まず、FX取引は投資家・FX業者・金融機関の3つによって成立します。
投資家がFX業者に注文をし、その注文を受けたFX業者が提携している金融機関に注文する、という流れになります。
投資家から注文を受け、その注文が利益を出した場合、その利益を支払うのはもちろんFX業者です。
つまり、FX業者には注文を受注した時点で、その注文における支払額が増えていくというリスクが生じます。
そのリスク軽減対策として、FX業者は投資家と同じ注文を、提携している金融機関に注文しているのです。
これを「カバー取引」、また提携している金融機関を「カバー先金融機関」と言います。
つづいてカバー取引について詳しく見ていきましょう。
カバー取引とは
相対取引と比較する事で、容易にカバー取引を理解する事ができます。
まず、FXではトレーダーとFX業者の1対1の「相対取引」が行われます。
しかし、この取引のみで完結させると、
・トレーダーが利益を出せば、FX業者が損をする
・トレーダーが損を出せば、FX業者が得をする
と、必ずどちらかが得をし、どちらかが損をすることになります。
FX業者からすれば、相対取引のみでは損をするリスクを必ず背負うことになりますね。
そこで大切になってくるのがカバー取引です。
カバー取引とは、FX業者は金融機関に対し、トレーダーと同じ注文を行う事です。
この取引によって、万が一相対取引で1万円の損を出した場合でも、同額の利益を手に入れることができます。
この「カバー取引」により、利益を求める投資家が集中したとしても問題なく、安定的に取引機会を提供できています。
しかし、為替レートは常に変動しているので、「相対取引」と「カバー取引」の間にも変動リスクが生じます。
変動リスクとは、為替レートが常に変動している事へのリスクの事です。
この変動リスクがどのように影響してくるのか、例を見てみましょう。
もし、1ドル100円とトレーダーに提示し、1000通貨の買いポジションを10万円で引き受けたとします。
ここで、「カバー取引」を行う際に、為替レートが変動し、1ドル101円になりました。
トレーダーと同じ注文である1000通貨の購入には10万1000円が必要になります。
同じ注文をするために、FX業者は1000円の損をしてしまいますね。
もし相対取引の際に、1ドル100円に1円を足して、1ドル101円として提示しておけば、1000円の損失は防げました。
つまり、この為替変動による「カバー取引」での損失を抑える、この1円こそが「スプレッド」なのです。
もちろん「スプレッド」がFX業者の収益になることも事実ですが、FXで安定的に取引するためでもあります。
ここまで、FXにおける「スプレッド」の1つ目の意味「広がり、差」という面について説明してきました。
次に、2つ目の意味「伸縮する」という面を中心に説明していきます。
固定と変動の2種類がある
スプレッドの2つ目の意味として「伸縮する」という意味があり、FXにおいてもスプレッドの伸縮が起こります。
まずは、スプレッドには「固定」と「変動」の2種類があり、それらの説明から始めていきましょう。
スプレッドには「固定」と「変動」の2種類がある
スプレッドは固定スプレッドと、変動スプレッドの2種類があります。
まず、固定スプレッドから説明していきます。
固定スプレッド:安定して取引が可能
固定スプレッドとは、「買値」や「売値」の差額を一定に保つスプレッドの事です。
しかし、「固定」とは言っても、現在全ての会社では「原則固定」という形をとっています。
なぜ原則なのかという理由は次の項で説明します。
変動スプレッド:常に変動している
対して変動スプレッドは、レートの変動に応じて伸縮するスプレッドの事を指します。
常に変動する可能性があり、特に流動性が低くなる時間帯では大きく開く傾向があります。
通貨の流動性が高い時間帯には、固定スプレッドの方が、安定した取引ができます。
時間帯によっては、変動スプレッドの方が狭くなる時もあります。
では、常に変動している変動スプレッドを採用している会社はどのように良し悪しを判断すれば良いのでしょうか。
変動スプレッドを採用している会社は平均スプレッドをみる事で判断できます。
最小スプレッドを表示している業者もありますが、最小なんて一回でも行けば最小です。
それに比べ、平均スプレッドが低ければ、大体のスプレッドの基準値を把握して取引が行えます。
平均スプレッドの低いFX会社ランキングを下記の記事にまとめましたので参考にしてくださいね。
なぜスプレッドは伸縮するのか
「変動」や「原則固定」の原則ではない時に、なぜスプレッドは変動するのかという要因を説明します。
FX取引が行われる為替市場では、取引量が多く流動性が高いほど価格は安定し、スプレッドが狭くなる傾向があります。
逆も然りで、この流動性こそがスプレッドの変動における最も大きな要因と言えるでしょう。
ただ、「原則固定」と言うように、原則としか言わざるを得ないような「変動」の要因となるものが3つ挙げられます。
1つ目は、重要な経済指標の発表や重要人物の発言前後です。
注目度の高い経済指標(例えば雇用統計)や重要人物の発言により、取引が急激に増加した際には、価格の急激な変化とともにスプレッドも大きく変動する可能性が高いです。
2つ目は、突発的なイベントになります。
北朝鮮などによるミサイル発射やテロなどが起きた際には、インターバンク市場でどのように価格の変動が起こるか予想がつきません。
ですから、スプレッドを広げておいて、相場を落ち着かせておくことがあります。
3つ目は、流動性の低い時間帯です。
主にクリスマス・年末年始という人々が休み、取引が急激に少なくなる時間帯が存在します。
このような時間帯には流動性が少なくなり、スプレッドが開く傾向があります。
ここまでで、スプレッドの2つ目の意味「伸縮する」という面における説明をしてきました。
次から具体的な数値を扱った説明をするので、よりスプレッドというものを実感しやすくなると思います。
FXで取引する際に生じるコストの計算方法
ここでは、スプレッドというものが実際にどのように取引の中で影響を与えるのかを具体的に見ていこうと思います。
スプレッドの簡単な計算方法
ここでも「米ドル/円」の通貨ペアで説明していきます。
上記によれば、買値は「106.985」、つまり1ドルを買うには106.985円必要になるということです。
また、売値は「106.982」、つまり1ドル売るのに106.982円必要だということを表します。
この場合、「米ドル/円」のスプレッドは
買値ー売値=106.985-106.982=0.003円(0.3pips)
になります。
それでは、この「米ドル/円」のレートで1万ドルの取引を行うとします。
買値は「106.985」ですから、1万ドル購入するのに、
106.985×10,000=1,069,850円
が必要になります。
次にそのレートですぐに売ったとします。
すると、売値は「106.982」なので、購入した1万ドルを売ると、
106.982×10,000=1,069,820円
が返ってきます。
つまり、この1万ドルの取引においては、
購入額ー売却額=1,069,850-1,069,820=30円
30円が1万ドル取引の際のスプレッドになります。
スプレッドの重要度は取引回数に比例する
上の計算部分を見て、10万ドルの取引をしてるのに、30円しかコストがかからないと考えるかもしれません。
もちろん、株式などの他の金融商品に比べて断然安いですし、外貨預金の手数料と比べると、100分の1程度になります。
しかし、たかが10円、20円などと甘く見ていると、FXで失敗してしまうでしょう。
FXとは短期で何度も取引ができるという特徴を持っていて、FXを行う上でこの特徴を活かさないのはもったいないです。
今回の例ではたったの1回の取引のスプレッドでしかありませんが、同じような取引を繰り返すほどスプレッドの重みは増していきます。
スプレッドとは取引回数に比例して重要度が高くなるものなのです。
レバレッジとスプレッド
取引回数とは別に、もう1つのスプレッドが大事になるポイントは、レバレッジをかける場合です。
今回も「米ドル/円」の買値「106.985」、売値「106.982」のレートで考えます。
まずは、レバレッジをかけずに1万ドルの取引を行う場合、先ほどの計算を参考にすると、スプレッドは30円になります。
次に、これにレバレッジ100倍をかけて取引するとします。
まず取引量が100万ドルに変わったので、
購入額:100万ドル×106.985=1億698万5000円
売却額:100万ドル×106.982=1億698万2000円
スプレッド:1億698万5000円-1億698万2000円=3000円
レバレッジが100倍になると、スプレッドも100倍になるのです。
レバレッジもスプレッドの重要度に関わる大事なポイントと言って間違いありません。
まとめ
この記事では、「スプレッドとは」という初心者が抱くであろう1つの疑問を徹底的に解決してきました。
スプレッドとはFXにおいて基本の知識である一方で、最も大事な知識でもあります。
スプレッドとは取引回数やレバレッジが取引における資金に大きく関係していくと説明しました。
そして結論としては「スプレッドは狭いほうがいい」、この解答だけは変わりようがない事実です。
FX業者を選ぶ上で、スプレッドもしっかりと考慮の対象にするべきです。
今回はスプレッドについて学んだと思いますが、このような基本の知識の積み重ねこそFXにおける成功への第一歩に間違いありません。
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