レバレッジの計算方法。損益リスク管理
FXでレバレッジレートはどのように計算されるのか気にならないでしょうか。
実は、レバレッジがどのように計算されるのか、ある程度FXの経験がある人でも知らないことがあります。
FXでレバレッジを使いこなすためにも、利用レートがどのように計算されるのかを知った上でFXに取り組んだ方が良いでしょう。
このコンテンツでは、FXにおける利用レバレッジの計算方法とレート計算に役立つ計算ツールを紹介しています。
目次
レバレッジは証拠金から計算式で算出
最初にFXで利用することになるレバレッジレートの計算式を紹介します。
次の計算式を理解するだけで、あなたがFXで使うことになるレバレッジレートが瞬時に分かります。
レバレッジの計算式
さて、この「レバレッジ=注文に必要な円換算値÷証拠金」という計算式を簡単に解説していきます。
レバレッジ算出の計算式の説明
注文に必要な円換算値とは、FX取引時の為替レートに取引量をかけることで計算される数値です。
例えば1ドルの相場が100円の時に10万ドルのFX取引を行う場合、FX取引に必要になる資金額は1,000万円であることが分かります。
このケースでFX口座に100万円を証拠金として預け入れていた場合、「1,000万÷100万=10」となります。
つまりFXで使うことになるレバレッジレートは10倍であることが分かります。
このようにFXでレバレッジ計算をするには、「注文に必要な円換算値」を証拠金額で割れば良いのでとてもシンプル。
もちろん実際のFX取引では、証拠金の額や円換算数値がもっと細かい数字になります。
複雑な数字を暗算で計算すると計算ミスをするおそれがあるのでレバレッジ計算をする際にはきちんと計算機を使いたいですね。
それに実際のFX取引ではレバレッジレートよりもレバレッジ利用時の損益に目を向けた方が良いでしょう。
ご存知の方もいるかもしれませんが、FXにおいてレバレッジはツールなので、レバレッジを使った結果どうなるかが大切になります。
実効レバレッジは算出しリスクを管理
ここからは実際のFX取引を再現した上で、レバレッジを利用する流れを見ていきましょう。
FXでどこまで負けられるか考える
まずは、FXにおいて自分がどこまでなら負けても大丈夫なのかを決めます。
別の言い方をすれば、FXで許容できる損失の金額を決定します。
※ここでは仮にFXで許容可能な最大損失額を3万円、FXに取り組む際の証拠金を20万円にしてみます。
1日でどれほど値が動くか把握する
次に、チャートから相場の動きを見て、FXの世界ではドルは一日にどの程度の変動があるのかを把握します。
チャートを確認すればわかることですが、ドルと円の為替相場における1日あたりの変動額はだいたい1円前後。
※今回はドルと円の基準レートを1ドル100円、1日あたりの為替の変動幅を1円と仮定した上で話しを進めていきます。
実効レバレッジを計算する
この状況で1ドル100円のレートで1万ドルの買い注文を出し、その後にドル単価が99円に下がるとどうなるか考えていきましょう。
1万ドルを1ドル100円のレート時に購入したので、FX取引の円換算値は100万円になります。
FX口座に預け入れた証拠金は20万円のため、「100÷20」で計算します。
100÷20は5、つまりFXで利用することになるレバレッジの倍率は5倍ということが分かります。
取引のシミュレーションをする
5倍のレバレッジと20万円を使って1万ドルを買い、買った後に1ドルの単価が100円から99円に下がったとします。
このケースにおける1万ドルの価値の変動を考えてみましょう。
1ドルの単価が100円から99円に下がるので1通貨あたり1円の損失が発生することになります。
保有通貨数は1万通貨なので発生する損失額は1円×1万(通貨)で1万円になります。
最初にFXで許容できる損失額を3万円にしていましたよね。
3万円までなら損失は許容できるのでもう少し高いレバレッジを使ってFXに取り組んでも問題なさそうです。
ちなみに今回は購入したドルの総額が1万ドルだったのでドル単価が1円下がっても損失額は1万円に収まりました。
損失額は保有通貨数によって変動しますので保有通貨数が多ければ増えますし、少なければ減ります。
このことを考えるためにも、先程と全く同じ条件で300万円に相当する3万ドルを購入するケースについて見てみましょう。
FX口座に預け入れた証拠金額は20万円でした。
取引高は300万円 ÷ 証拠金は20万円、つまり 300 ÷ 2 で 15 という数値が算出されます。
つまり、今回のFX取引で利用する実効レバレッジは15倍ということになります。
1ドル単価が100円から99円になった場合、3万ドルの価値は300万円から297万円になるので発生する損失額は3万円になります。
FXで許容できる損失を3万円とするなら、レバレッジは15倍に設定するのが適正ですね。
15倍を超えるレバレッジを使ってFXに取り組むと、1円の変動で許容額以上の損失がFXで発生することになります。
実効値を変更し損益を管理する方法
実際のFX取引では、その時の相場の動きによって利用するレバレッジも調整していくことになります。
ここでは、FX取引中に利用レバレッジを調整していく方法を説明していきます。
例えばFX口座に20万円を預け入れ、1ドル100円の為替レートのタイミングで500万円分のドルを購入したとします。
その後ドルの単価が100円から100.5円に一値上がりし、その後も継続的な値上がりが期待できるとします。
相場が上り調子ですと利用レバレッジを引き上げたいと考える人もいるかと思います。そこでより高いレバレッジを使ってFXに取り組むためにFXで許容できる損失額をもともとの3万円から5万円にまで引き上げてみます。
FXの許容損失額を5万円にしたケースでは何倍のレバレッジをFXで使えばよいのかについて計算してみましょう。
500万円に相当する5万ドルのFX取引をすると、1ドル単価が1円値下がりすると5万ドルの価値は495万円となります。
つまりFXで許容できる5万円の損失は、1ドル単位の通貨価値が1円落ちた時に発生します。
500万円分のFX取引を行う際の利用レバレッジについても計算してみます。
利用レバレッジを求めるために計算機に「500÷20」と打ち込むと25という数値が計算されます。
この計算された数値の通り、利用することになるレバレッジレートは25倍になります。
強制ロスカットとは?強制決済を回避
FXの世界ではFX口座に預け入れた証拠金が規定金額を下回るとロスカットが執行されます。
ロスカットは証拠金を上回る損失を予防するための措置ですので悪いものではありませんが、FX取引から強制的に閉めだされるのでできれば避けたいもの。
FXの世界では高いレバレッジを使えば使うほどロスカットリスクが大きくなります。
FXでレバレッジを使う際は、利用レバレッジの計算と同様にロスカットリスクも計算した上でFX取引に臨んだほうが良いでしょう。
FXにおいてロスカットは、FX口座内の証拠金がこれから紹介する計算式で出てくる金額を下回った時に発生します。
ロスカット金額=「FX取引総額」÷「上限レバレッジ」×「証拠金維持率」
例えば上限レバレッジが25倍、証拠金維持率が50%のFX口座で200万円に相当する2万ドル分のFX取引を行ったとします。
このケースでそれぞれの数値を「FX取引総額」÷「上限レバレッジ」×「証拠金維持率」という計算式に入れてみます。
すると計算式は「200万円」÷「25倍」×「50%」となるはずです。
この計算の結果出てくる数値は4万円ですので、4万円が今回のFX取引におけるロスカット対象金額となります。
仮にFX口座に10万円を入金した上でFXに取り組んでいたとしましょう。その場合ですとFX口座内の残高が6万円減少して4万円になった時にロスカットが執行されます。
それではどのタイミングで2万ドルの価値が6万円下がるのかについて考えみましょう。
ここまでの内容を読んだ方ならもうお分かりかもしれませんが、発生タイミングの計算式は6万(円)÷2万(ドル)となります。
この計算をすると3という数値が出てくるので1ドル単価が3円下がった時に6万円の損失がFXで発生することが分かります。
このようにロスカット金額がわかれば、保有通貨の価値がどれくらい落ちればロスカットがFXで引き起こるかがわかります。
FXでレバレッジを使うとロスカットリスクが高まるので利用レバレッジを決める際にはロスカット金額も計算すると良いでしょう。
エクセルと電卓アプリを使った管理術
FXでレバレッジの計算式はシンプルですが、自分で逐一計算機を使って計算をするのは時間がかかるので大変です。
そこでここでは、計算機よりもシンプルに利用レバレッジの計算を行えるとても便利な計算ツールについて紹介していきます。
エクセルで利用レートを計算する
まずはエクセルという表計算ソフトを使ってレバレッジ効果を計算する方法について紹介します。
エクセルを使ってFXにおける利用レバレッジを計算するには、エクセルに備わっている関数機能を使うことになります。
エクセルの優れた点は一度計算式を作れば、都度数値を入力するだけで適切なレバレッジレートが一瞬で割り出されることです。
ちなみにFXのレバレッジ計算をエクセルで行うのでしたら、これから紹介する2種類の計算式をエクセルシートに入力するのが良いでしょう。
レバレッジ計算の計算式
利用レバレッジ=「FX取引総額」÷「FX口座内の証拠金」
この計算式をエクセル上に入力して「FX取引総額」を固定し、FX口座内の証拠金額を入力すれば、その都度適切なレバレッジレートが算出されます。
ロスカットタイミングの計算式
ロスカット金額=「FX取引総額」÷「上限レバレッジ」×「証拠金維持率」
FX口座の上限レバレッジと証拠金維持率は変わらないので、先程の計算式の「上限レバレッジ」と「証拠金維持率」の欄に数値を入力してみましょう。
その上でFXにおける取引金額をその都度入れれば、その都度FX口座内に保持すべき最低金額がわかります。
「FX取引総額」÷「FX口座内の証拠金」と「FX取引総額」÷「上限レバレッジ」×「証拠金維持率」という2つの計算式は最低限のエクセルの関数が使えれば、誰でも簡単に使うことができます。
一度計算式を作れば、数値を入力すれば自動でレバレッジレートが計算されるのでとても便利です。
簡単な計算式を入力するだけで利用レバレッジが自動計算されるのでエクセルにアレルギーがない方は使ってみてはいかがでしょうか。
スマホアプリを使う
2つ目の便利な計算方法は、過去の計算式が登録できるスマホアプリでレバレッジ計算に取り組むことです。
上限レバレッジと証拠金維持率を固定した計算式を登録すれば、現在のFX取引額を入力するだけで適切なレバレッジレートが出てきます。
筆者がFXでレバレッジ計算をする際に使っている電卓アプリは、PanecalSTというアプリです。
このアプリは過去に使った計算式を登録でき、しかも微修正までできるので一度レバレッジの計算式を入力すれば何度でも使いまわせます。
例えば取引金額÷証拠金というレバレッジの計算式を登録し、証拠金を1万円、取引金額を10万円という条件でFX取引に臨んだとします。
このFX取引で利用することになるレバレッジレートは、10万円÷1万円という計算式で計算される10倍です。
ここまでは普通の電卓と変わりませんが、PanecalSTは利用レバレッジの算出に使った計算式がアプリ上に登録されます。
次回以降のFX取引で利用レバレッジを計算する際にはゼロから計算式を入力せずに以前の計算式を編集すればよいのです。
このような特徴があるのでスマホでFX取引を行う人には非常に人気があります。
それにPanecalSTを使えば、FXでロスカットが発生するタイミングも簡単に計算することができます。
FXの世界ではロスカットタイミングは、「FX取引総額」÷「上限レバレッジ」×「証拠金維持率」という計算式で算出されます。
この計算式をPanecalSTに入力して登録したとします。
「上限レバレッジ」と「証拠金維持率」は不変ですので、それぞれの数値を固定します。
その上で残りの「FX取引総額」の項目をFXに取り組む際にその都度入力すれば、ロスカット金額が自動で計算されます。
このようにPanecalSTは、数式さえ登録していれば登録数値をいじるだけでレバレッジレートやロスカット金額が自動で算出されます。
非常に便利な計算アプリですのでFXでレバレッジを使う予定がある方は、利用してみるのが良いでしょう。
この記事のまとめ
ここまでFXでレバレッジと関わる際の鍵となるレバレッジの計算方法について解説してきました。
レバレッジの計算式はとてもシンプルですので一度計算方法を理解すれば、FXで利用することになるレバレッジレートは瞬時に分かります。
FXでレバレッジを使う予定があるのでしたら今回紹介したレバレッジの計算式はきちんと理解する必要があります。
こちらの記事も一読することをおすすめします。