インジケーターとは
インジケーターとはFX取引をする際、チャート上に表示させて売買の参考にする指標の事です。移動平均線やボリンジャーバンドが有名ですが、インジケーターの種類は数十~数百にも登ると言われています。
FX取引を行う場合に、どのインジケーターを使ったらよいか迷ってしまいますよね。
世に出回っているインジケーターは非常に多くありますが、インジケーターの使い過ぎはかえってチャート画面が見づらくなり逆効果です。FX取引に勝つためには、本当にトレードに有効なインジケーターを厳選して使いたいものです。
今回は、数あるインジケーターの中からトレードに使えるものを選び、その特徴や見方を紹介するとともに、実際にインジケーターを活用したFXトレードの手法を解説いたします。
まず、インジケーター3種類の特徴と役割について見ていきましょう。
3種類をFX相場に応じて使い分ける
FX取引で利用するインジケーターは、大きく分けて以下の3種類に分類できますが、それぞれの特徴や役割は異なっています。
FX取引を有利に進めるには、これらの3種類のインジケーターをその時々のFXの相場環境に応じて使い分けることが重要です。
1.トレンド系
トレンド系のインジケーターは、以下のことを視覚的にわかりやすく把握するための指標です。
- ①FX相場にトレンドが発生しているか
- ②トレンドの強さや勢いはどの程度か
トレンド系のインジケーターは、ローソク足チャートと一体化して(重ね合わせて)表示されるのが特徴です。
FX相場にトレンドが発生している場合はトレンドの状況確認ができ、エントリーの判断材料に使うことができます。そのため、相場のトレンド方向に沿った順張りに向いているインジケーターといえます。
ただし、あくまでトレンドの有無や強弱を判断するものであるため、細かいエントリーポイントやタイミング計るのは自分で行う必要があります。
2.オシレーター系
オシレーター系のインジケーターは、以下のことを視覚的にわかりやすく把握するための指標です。
- ①現在の価格が過去と比べてどうか
- ②FX相場が買われ過ぎの状態か、売られ過ぎの状態か
オシレーター系のインジケーターは、チャート画面の下部に別枠で表示されるのが特徴ですが、価格が一定の範囲内を往復するレンジ相場で威力を発揮します。すなわち、FX相場が買われ過ぎの状態であれば売りエントリー、逆に売られ過ぎの状態であれば買いエントリーの判断に使うことができます。
その点では、相場の方向に逆らった逆張り向きのインジケーターということができます。
以上のように、オシレーター系のインジケーターは、レンジ相場では威力を発揮しますが、トレンド相場では正常に機能しなくなる場合があります。
通常、オシレーター系のインジケーターを単体で使うことはせず、他のインジケーター(主にトレンド系)と組み合わせて使用します。
3.ボリューム系
ボリューム系のインジケーターは、以下のことを視覚的にわかりやすく把握するための指標です。
- ①FX取引が活発に行われているか
- ②FX相場の勢いはどの程度か
ボリューム系のインジケーターは、相場の出来高を基にして相場の勢いを表してくれます。相場の出来高は、相場での取引量であることから、出来高が増えると相場に勢いが出てトレンドの発生に繋がります。
ただし、市場取引である株式相場と異なり、FX業者と顧客との相対取引が主体のFX相場では、正確な出来高が把握できません。
そのため、FXにおけるボリューム系のインジケーターは、価格変動の回数であるティック数やそれ以外の独自のやり方でFX相場の勢いを把握しているのです。
何系を使えばいいの?
3つの系統のインジケーターを見てきましたが、それぞれに特徴の違いがありましたね。
復習:それぞれの特徴
- トレンド系 :トレンドの方向・強さがわかる
- オシレーター:売られすぎ・買われすぎが分かる
- ボリューム系:トレンドの勢いがわかる
ご存知だとは思いますが、絶対に勝てるインジケーターというのは存在しません。
その時の相場にもよりますし、複数のインジケーターで分析して総合的に判断する事が大切です。インジケーターを全く使った事がない方には移動平均線から始めるのがおすすめです。
次にご紹介しますが、移動平均線は利用者が多いので情報も多い点・トレンドが視覚的に分かる点でおすすめしています。
では、トレンド系でよく使われているランキングから見ていきましょう。
トレンド系ランキング
それでは、まずトレンド系インジケーターでおすすめのものを紹介しましょう。
トレンド系は「トレンドの方向・強さが分かる」でしたね。トレンド系は使っているトレーダーも多く、聞いた事のある人も多いでしょう。
まずは王道中の王道、「移動平均線」から見ていきます。
1位:移動平均線
移動平均線は、一定期間における売買価格(終値)の平均を求め、それを繋ぎ合わせて視覚的に見やすいグラフにしたインジケーターです。
例えば、20日単純移動平均線では、当日を含めた直近20日間の終値を平均した数値を順番に繋いだものとなります。
また、5日や7日など平均をとる期間が短いものを短期移動平均線、逆に200日や300日など平均をとる期間が長いものを長期移動平均線といいます。
移動平均線は一つだけを表示させて使うものではなく、複数表示させて使うものです。
- 25日移動平均線(短期)
- 75日移動平均線(中期)
- 200日移動平均線(長期)
デイトレーダーでしたら、上記の3本で十分でしょう。短期・中期・長期の3つの視点から分析をする事が大切です。
では、移動平均線を使うとどんな事が分かるのでしょうか?見ていきましょう。
トレンドの発生がわかる
移動平均線が傾いてくるとトレンドが発生したことがわかります。
トレンドの方向がわかる
移動平均線が右上がりの場合は上昇トレンド、右下がりの場合は下降トレンドと判断できます。
トレンドの強さがわかる
移動平均線の傾きの大きさでトレンドの強さがわかります。トレンドが強いほど、移動平均線の傾きが大きくなります。
買い・売りのシグナルがわかる
移動平均線は、期間が短いものの方が現時点の値動きに素早く反応します。そのことを利用した手法がゴールデンクロスとデッドクロスです。
区分 | 現象 | 見方 |
---|---|---|
ゴールデンクロス | 短期が長期を上に突き抜ける | 買いのシグナル |
デッドクロス | 短期が長期を下に突き抜ける | 売りのシグナル |
見てきたように、移動平均線は多くの事を教えてくれます。使っている人が多いのも納得できますね。初心者の方は移動平均線から使って見ると良いでしょう。
続いては、ボリンジャーバンドについて見ていきましょう。
2位:ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、標準偏差を用いて、価格が中心からどの程度動く可能性があるかを視覚的に図で表したインジケーターです。
上図はボリンジャーバンドを表したチャートですが、真ん中の黄色ラインは一定期間の価格の平均値を示す移動平均線で、そこから外側に向かって、1σ(シグマ)ラインと2σラインが設定されています。
ボリンジャーバンドを使うと以下の事がわかります。
FX相場の値動きの大きさがわかる
ボリンジャーバンドは、FX相場の値動きが大きいと太く膨らみ、値動きが小さいと細く萎む性質があるため、その太さで値動きの大きさがわかります。
- 膨らんでいたら・・・値動きが大きい
- 縮んでいたら・・・値動きが小さい
と判断すれば、良いでしょう。
トレンドの発生がわかる
ボリンジャーバンドは、次のような性質を持っています。
- 価格が1σの中に収まる確率は68%
- 価格が2σの中に収まる確率は95%
このため、相場が2σラインを突き抜けた場合は、5%しかない確率が現実のものとなったことから、非常に強い力が生じてトレンドが発生した可能性が出てきます。
したがって、この場面はトレンドフォローの「順張り」に活用できます。
買われ過ぎ・売られ過ぎがわかる
価格が一定の範囲を往復するレンジ相場では、価格が2σラインに近づくと、買われ過ぎまたは売られ過ぎの可能性が高まります。
したがって、この場面は「逆張り」に活用できます。
次にご紹介する一目均衡表は、「雲」を使ったインジケーターです。見た事ある人も多いのではないでしょうか?
3位:一目均衡表
一目均衡表は、一目で相場の均衡状態を捉え、特定の時間枠の中での値動きとその中心値から将来の価格を予測しようとするインジケーターです。
ラインが多く少し複雑そうにみえますが、慣れれば使いやすいインジケーターといえます。
各ラインの計算は次のように行われています。(覚える必要はありません)
- ・転換線
=(過去9日間の高値+安値)÷2 - ・基準線
=(過去26日間の高値+安値)÷2 - ・先行スパン1
=(転換線+基準線)÷2 - ・先行スパン2
=(過去52日間の高値+安値)÷2 - ・遅行スパン
=終値を26日前の位置に記入
※先行スパンは26日先に記入
一目均衡表で分かる事は以下の通りです。
FX相場の買い時・売り時がわかる
転換線が基準線を上抜け、基準線も上向くと買いサイン、逆に、転換線が基準線を下抜け、基準線も下向くと売りサインとみます。
- 雲を上抜けたら・・・買い
- 雲を下抜けたら・・・売り
と考えるて良いでしょう。ちなみに、遅行スパンが26日前の相場を上抜けたら買いサイン、下抜けたら売りサインとみます。
FX相場の方向性が分かる
相場が基準線より上にあれば「強い相場」、下にあれば「弱い相場」と判断します。
- 相場が雲より上・・・上昇トレンド
- 相場が雲より下・・・下降トレンド
- 相場が雲の中 ・・・レンジ相場
相場が雲より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンド、雲の中にあればレンジ相場と判断すれば良いでしょう。
トレンド系:まとめ
トレンド系インジケーターで出来る事の早見表を作成しましたので参考にしてください。
移動平均線 | ボリンジャーバンド | 一目均衡表 | |
---|---|---|---|
トレンドの発生 | 〇 | 〇 | 〇 |
トレンドの方向 | 〇 | 〇 | 〇 |
トレンドの強さ | 〇 | 〇 | 〇 |
買い(売り)シグナル | 〇 | 〇 | |
買われ(売られ)すぎ | 〇 |
トレンドの発生・方向・強さについては、どのインジケーターでも判断できます。トレンド系の主な目的はトレンドを知る事ですから、当たり前ですが(笑)
続いては、主に売られ過ぎ・買われ過ぎを知る事の出来るオシレーター系のインジケーターを見ていきましょう。
オシレーター系ランキング
先ほどもお伝えしましたが、オシレーター系は売られすぎ・買われすぎを知る事が出来るんでしたね。
売られすぎはというのは、相場に対して過剰な売りが出ているというサインです。過剰な売りで下がった相場は戻りますから、トレンド転換のヒントになります。
では、そんなオシレーター系インジケーターでおすすめのものを紹介しましょう。
1位:macd
macd(マックディー)は、2本の移動平均線の差を使って、トレンドの方向や転換を表してくれるインジケーターです。
- 水色の線・・・平均移動線の差
- 赤色の線・・・シグナル
- 黄色の棒・・・水色と赤色がどのくらい離れているか
上記の3つのシグナルが、同時に表示されていると考えれば良いでしょう。
相場の買い時・売り時がわかる
macdがシグナルを上抜けたら買い、逆に下抜けたら売りサインと判断します。
ただし、サインとして有効なのは、クロスの角度が一定以上に深い場合のみです。
また、レンジ相場では、売りと買い両方に使えますが、トレンド相場ではトレンド方向のサインのみ有効です。
利益確定の時期がわかる
ヒストグラムから、macdとシグナルとのかい離が大きくなり反転が始まるポイントが利益確定の目安です。
FX相場の方向性がわかる
macdとシグナルが0ラインより上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドと判断します。
2位:rsi
rsiは、直近の一定期間において、現在のFX相場の相対的な強弱や過熱感を表すインジケーターです。
rsiは、50%を中心として0~100%の範囲で推移します。上昇局面では数値が50%以上、下降局面では数値が50%以下で推移していきます。
rsiインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
買われ過ぎ・売られ過ぎが分かる
70%のレベルを超えてラインが上がれば、現在の価格が買われ過ぎの状態と判断します。
逆に、30%のレベルを超えてラインが下がれば、現在の価格が売られ過ぎの状態と判断します。
逆張りエントリーの目安
30%以下で推移していたrsiが、30%のレベルを上抜いた時に買いのタイミングだと判断できます。
70%以上で推移していたrsiが、70%のレベルを下抜いた時に売りのタイミングだと判断できます。
ただし、この手法が使えるのはレンジ相場のみで、トレンド相場では有効に機能しません。
利益確定の目安が分かる
利益確定は、次の条件が満たされた時点が目安となります。
- 買いポジション保有では、ラインが70%のレベルを超えて「買われ過ぎエリア」に入る
- 売りポジション保有では、ラインが30%のレベルを超えて「売られ過ぎエリア」に入る
3位:ストキャスティクス
ストキャスティクスは、一定期間における価格の範囲(一定期間の最高値~最安値の値幅)の中で、現在価格がどのような位置にあるかを表すインジケーターです。
ストキャスティクスは、メイン(青)とシグナル(赤)の2本のラインで構成されており、メインの方がシグナルより相場に素早く反応します。また、価格のレベルを表すために、中心の0から上下にレベル数値が設定されています。
相場の上昇局面ではメイン、シグナルのラインともに上限に近づき、下降局面では下限に近づきます。
ストキャスティクスインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
買われ過ぎ・売られ過ぎが分かる
80のレベルを超えてラインが上がれば、現在の価格が買われ過ぎの状態と判断します。
逆に、20のレベルを超えてラインが下がれば、現在の価格が売られ過ぎの状態と判断します。
逆張りエントリーの目安が分かる
新規買いは、次の2条件が満たされた時点で行います。
- メインがシグナルを下から上に突き抜ける(ゴールデンクロス)
- 両方のラインが20のレベルを下から上に突き抜ける
新規売りは、上の逆になります。
ただし、この手法が使えるのはレンジ相場のみで、トレンド相場では有効に機能しません。
利益確定の目安が分かる
利益確定は次の条件が満たされた時点で行います。
- 買いポジション保有では、ラインが80のレベルを超えて「買われ過ぎエリア」に入る
- 売りポジション保有では、ラインが20のレベルを超えて「売られ過ぎエリア」に入る
オシレーター系:まとめ
オシレーター系のインジケーター3つの早見表を作りましたので参考にして下さい。
macd | rsi | ストキャスティクス | |
---|---|---|---|
買われ(売られ)すぎ | 〇 | 〇 | |
買い時 | 〇 | ||
利確タイミング | 〇 | 〇 | 〇 |
トレンドの方向 | 〇 | ||
逆張り | 〇 | 〇 |
オシレーター系は買われ過ぎ・売られ過ぎが分かるインジケーターなので、利確タイミングの判断に使えます。
- 1.買いでエントリー
- 2.オシレーター系で買われすぎと判断
- 3.利益確定
トレンド系はトレンドを掴みエントリーを探るのに使うのに対し、オシレーター系はトレンドの転換を察知し利益確定に使うという組み合わせが効率的でしょう。
最後に、相場の勢いを知るためのボリューム系インジケーターについて見ていきます。
ボリューム系ランキング
最後に、ボリューム系インジケーターでおすすめのものを紹介しましょう。
1位:obv
obvの算出では、出来高をFX相場が上昇した日の出来高と相場が下降した日の出来高に分け、上昇した日の出来高は全て買い方によるものとし、下降した日の出来高は全て売り方によるものとみなします。
基準日以降、上昇日の出来高は加算、下降日の出来高は減算して算出された累計がobvの数値で、これを結んで視覚化したものがobvインジケーターです。
obvインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
買い圧力・売り圧力の判定ができる
obvが上昇している時は買い圧力が強く、下降している時は売り圧力が強いと判断できます。
ダイバージェンスによる相場予測ができる
価格は上昇しているが、obvが上昇していないか下落している場合は、やがて価格は下落に転じる可能性が高いと判断できます。
この場合は、あまり約定数を伴っていない上昇で、買い圧力もあまり大きくないと読むことができるからです。
同様に、価格は下降しているが、obvが下降していないか上昇している場合は、やがて価格は上昇に転じる可能性が高いと判断できます。
mfi
mfiはマネーフロー・インデックスといい、相場で資金が売りと買いどちらに向いているかについて、値動きと出来高から判定するインジケーターです。
市場取引ではなく、店頭取引が主体のFXでは出来高の正確な把握ができません。そのため、FXチャートのmfiは、値動きにより蓄積されるティックデータの量を出来高として処理しています。
mfiインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
買われ過ぎ・売られ過ぎがわかる
80のレベルを超えてラインが上がれば、現在の価格が買われ過ぎの状態と判断します。
逆に、20のレベルを超えてラインが下がれば、現在の価格が売られ過ぎの状態と判断します。
rsiと異なり、mfiは出来高の要素が加味されているため、数値の変動が大きくなります。そのため、買われ過ぎ・売られ過ぎの判定レベルが、rsiでは70・30であったのに対しmfiでは80・20となります。
逆張りエントリーの目安がわかる
- 20%以下で推移していたmfiが、20%のレベルを上抜いた時に買い
- 80%以上で推移していたmfiが、80%のレベルを下抜いた時に売り
mfiでは、上記のタイミングで売り買いをする手法が一般的です。
ダイバージェンスによる相場予測ができる
obvインジケーターと同様に、ダイバージェンスによる相場予測にも使えます。
A/D
A/Dは、買いエネルギーによる価格の上昇や売りエネルギーによる価格の下落など、売買エネルギーの変化によりトレンド転換のタイミングを計るインジケーターです。
A/Dインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
FX相場における売買エネルギーの蓄積ができる
上方向にエネルギーが蓄積されればA/Dは上昇し、下方向にエネルギーが蓄積されればA/Dは下降します。
ダイバージェンスによるFX相場転換の予測ができる
価格が上昇している時にA/Dが下降している場合は、売りのエネルギーが増加しているため、やがてFX相場は下降に転換するとみます。
売りのサインとして有効です。
価格が下降している時にA/Dが上昇している場合は、買いのエネルギーが増加しているため、やがてFX相場は上昇に転換するとみます。
買いのサインとして有効です。
ボリューム系:まとめ
ボリューム系インジケーターの早見表を作成しましたので参考にしてください。
obv | mfi | A/D | |
---|---|---|---|
買い(売り)圧力 | 〇 | ||
ダイバージェンス | 〇 | 〇 | 〇 |
買われ(売られ)すぎ | 〇 | ||
逆張り | 〇 | ||
エネルギーの蓄積 | 〇 |
※ダイバージェンス・・・反転のタイミングが分かるテクニカルサインの事
ボリューム系は取引量を元に考えるので、相場の勢いの強弱や反転のタイミングが分かります。そのことから逆張りに使われる事が多いです。
ここまでトレンド系・オシレーター系・ボリューム系でそれぞれ3つずつのインジケーターを見てきました。
今回ご紹介したインジケーターは9種類ですが、実際には数十種類あります。その中から自分に合ったインジケーターを見つけるのは至難の業ですよね。
そこで、今回は私が実際に使っていて「良いな」と感じた組み合わせを一つご紹介します。(最初から紹介しろよって話ですよねすいません(笑))
FXトレーダーが使う最強のインジケーター術
それでは最後に、プロトレーダー直伝のインジケーターを使った手法を紹介しましょう。
- 1.全体のトレンドを把握する
- 2.仮説が正しいか確認する
- 3.実際に売買する
この3つの流れに沿って、見ていきましょう。
全体:ジグザグ(トレンド系)
ジグザグ(ZigZag)は、価格の高値と安値を結んだラインを表示することで、大まかなFX相場の流れを視覚的にわかりやすく捉えることができるインジケーターです。
移動平均線・ボリンジャーバンドと同じトレンド系のインジケーターになります。
ジグザグは、パラメータの数値を変えることにより、ラインの細かさ(山や谷の細かさ)を変えることができます。
ジグザグインジケーターを観察すると、次のことがわかります。
全体のトレンドの確認ができる
FX相場は、上昇と下降を繰り返しながら変動します。
高値・安値ともに切り上げていれば上昇トレンド、高値・安値ともに切り下げていれば下降トレンド、統一性がなければレンジ相場と判断できます。
ジグザグを使えば、その状況確認が視覚的に素早くできます。
例えば、上昇トレンドにあったFX相場が高値の更新ができず、安値を切り下げてしまったら、トレンドが終わる可能性が高くなりますが、ジグザグを表示させておくとスピーディーに把握できるのです。
ジグザグは細かい所まで見極めるのには適していませんが、全体の相場観を把握するために使います。細かい所は次のフィボナッチで見ていきます。
確認:フィボナッチ
フィボナッチは、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチ氏が研究した「フィボナッチ級数」をFXトレードに応用したインジケーターです。
中でも、最も重要なのは「フィボナッチリトレースメント」で、リトレースメントとは「引き返す、後戻りする」といった意味になります。すなわち、フィボナッチリトレースメントとは、FX相場における押しや戻しの比率のことです。
トレンドが発生して相場が動いた後、どこまで値が戻ったかを見ることによって、その後の展開が予測できるインジケーターなのです。
フィボナッチリトレースメントで使用する数値は、0.236、0.382、0.500、0.618、0.786などです。
例えば、0.500は50%で、「半値戻し」という意味になります。チャート上でフィボナッチ比率を表すと、MT4では次のようになります。
フィボナッチリトレースメントは、トレンドが発生してFX相場が動いた後、どの比率まで戻したかをチャート上に表示します。
そして、どのラインまで戻したか(どのラインで跳ね返るか)によって、その後のFX相場展開をある程度予測できます。
この例では、上図のとおり、下降トレンドの底(0%)から相場は61.8%ほど戻しています。61.8%まで戻すのは買い圧力がかなり高く、戻りの中でも強い部類です。
したがって、この時点で、FX相場の下落は長く続かないことが予測されます。
その後の展開をみても、再度の下落は途中で支えられ、最終的に100%の位置を回復しています。
このように、61.8%など戻りが強い時は、下落より上昇圧力が強くなっているため、売りは控えた方が無難といえます。
一方で、戻りが弱いケースもありますが、その例が下図です。
この例では、下降相場の後0%の位置から38.2%ほど戻しましたが、この比率では買い圧力が高いとはいえず、下に抜けやすいパターンです。
その後の展開をみても、再度の下落で0%を割り込み落ちてしまいました。
戻しの比率で重要なものは、次のものです。
- 0.382=38.2%で弱い戻し
- 0.500=半値戻しで中間的な強さ
- 0.618=61.8%で強い戻し
なお、いくら戻りが弱いからといって、即座に売るのは危険です。実際に売買する際はトレンドラインを引いて判断します。
売買:トレンドラインを引いて判断
トレンドラインは、FXの相場の状況を把握するためにチャート上に引く補助線の事です。インジケーターではありません
「インジケーターの事を話してきたのに、結局最後は自力ですか・・・」と落胆の声が聞こえてきそうですが、やはり最後は自力です。
インジケーターだけでも売買は可能ですが、勝率を上げるには自分自身のトレード力を上げるしか方法はありません。
インジケーターだけで100%勝てるのなら、もれなく全員それを使いますよね。100%勝てないからこそ無数のインジケーターが存在するのです。
さて、話をトレンドラインに戻しましょう。
トレンドラインには、「上昇トレンドライン」と「下降トレンドライン」の2種類があり、トレンドラインを観察すると、次のことがわかります。
トレンドの有無がわかる
トレンドラインを引けるということは、トレンドが発生していると判断できます。
トレンドの強さが分かる
トレンドラインの傾きが大きい、またはトレンドラインが長い場合は、強いトレンドであると判断できます。
トレンドの段階が分かる
トレンドラインの傾きの推移から、トレンドの段階(初期・中期・後期)が判別できます。
トレンドラインを活用した売買手法
次に、トレンドラインを用い実戦でエントリーを行ってみましょう。
トレンド相場であれば、その方向に沿った売買を行うこと(トレンドフォロー・順張り)がFXの基本です。
しかし、トレンド相場でも、むやみにどの位置で買ってもよいわけではありません。
トレンド相場であっても相場が一直線に上下することはなく、必ず「押し」や「戻り」などの調整が入ります。この調整が入る前にポジションを持ってしまうと、調整が始まった時に含み損を抱えてしまう可能性があります。
したがって、「押し」や「戻り」などの調整が終わってFX相場が元のトレンド方向に戻るポイントでエントリーを行うことが大切なのです。このような売買手法を「押し目買い」、「戻り売り」といいます。
トレンド別のトレンドフォロー手法
上昇トレンドでのトレンドフォロー手法
上昇トレンド相場での事例をみてみましょう。下図がそのチャートになります。
①FX相場の安値同士A~Bを結んで上昇トレンドラインを引きます。
②すぐにエントリーはせず、「押し」の調整が入るのを待ちます。
③やがて、相場に調整が入りトレンドラインに近づいてきました。上昇トレンドラインはサポートライン(支持線)として機能するので、そこで跳ね返るポイントを狙います。
④買いのエントリーポイントは、相場がトレンドラインに跳ね返され再び上昇し始めた青色①の地点です。仮にそのポイントで買いそびれても、青色②~④のポイントでも買いポジションを建てることができます。ただし、相場がトレンドラインにしっかりと跳ね返されたことを確認して、ポジションを建てることが肝心です。
(注:先ほどと同じ図です。)
⑤その後は、FX相場が少々上下しても買いポジションを持ち続けます。トレンド相場が終了する、またはトレンド転換する兆しが現れるまで、利益確定はしません。
⑥やがて、相場がトレンドラインを割り込んでしまいました。
FX相場が、上昇トレンドラインを割り込んだら、上昇トレンド終了またはトレンド転換の兆しと捉え、そのポイントで利益確定です。
下降トレンドでのトレンドフォロー手法
次に、下降相場での事例をみてみましょう。考え方は、上昇トレンドの場合と同じです。
①FX相場の高値同士A~Bを結んで下降トレンドラインを引きます。
②すぐにエントリーはせず、「戻り」の調整が入るのを待ちます。
③下降トレンドラインはレジスタンスライン(抵抗線)として機能するので、そこで相場が跳ね返るポイントを狙います。
④売りのエントリーポイントは、相場がトレンドラインに跳ね返され再び下降し始めた地点です。
(注:先ほどと同じ図です。)
⑤その後は、FX相場が少々上下しても売りポジションを持ち続けます。
⑥やがて、相場がトレンドラインを上に突き抜けました。
FX相場が、下降トレンドラインを突き抜けたら、下降トレンド終了またはトレンド転換の兆しと捉え、そのポイントで利益確定です。
トレンドラインのブレイクを狙う
上のチャートで、FX相場がトレンドラインをブレイクアウトし上昇に転じる気配であれば、売りポジションを解消した後に、新たな買いポジションを建てることができます。
下図は、FX相場がトレンドラインをブレイクした部分の拡大図です。
①FX相場がトレンドラインAをブレイクした際に、慌ててすぐにエントリーするとダマシに引っかかってしまう場合があります。
また、すぐ上にはレジスタンスラインBがあります。そのため、相場がこのトレンドラインAやレジスタンスラインBに支えられるのを確認できれば、安全にエントリーすることができます。
②ブレイク後には、トレンドラインやサポレジラインの役割が転換し、サポートラインだったものがレジスタンスラインとして、またレジスタンスラインだったものがサポートラインとして機能しやすくなります。このラインの役割が転換することを「ロールリバーサル(サポレジ転換)」といいます。
(注:先ほどと同じ図です。)
③上図では、ブレイク後に相場が逆行してトレンドラインAまで下がってきていますが、そこで押し返され(レジスタンスとして機能)、長いヒゲができています。この長いヒゲにより、ロールリバーサルで相場がトレンドラインAに支えられたことを確認できます。
④さらに、レジスタンスラインBも上に突き抜けることができ、ローソク足の実体がBの上で確定しました。
⑤さらに、新しいトレンドラインCも引くことができました。
⑥これら複数の根拠を確認し、買いエントリーを行います。
以上のように、ラインブレイクでエントリーする場合は、他のラインやインジケーターなど、できるだけ多くの根拠を確認して行うとよいでしょう。
FXのインジケーター まとめ
トレンド系・オシレーター系・ボリューム系の三つのインジケーターとその使い方について見てきましたが、いかがでしたか?
インジケーターを使うには、MT4という取引ツールを使う事が一般的です。MT4と使い方については以下の記事を参考にしてください。
また、MT4は国内のFX会社では扱っておらず、海外FX会社の取引プラットフォームです。
海外FXについて詳しく知りたいという方は以下の記事も合わせて読むと、理解が深まるのでおすすめです。